相続建物の古い登記 『無いはず』の建物が残ってた話
- hirokachousashi
- 1月15日
- 読了時間: 3分
相続建物の古い建物登記――
相続に関わる建物登記では、**「本人も把握していない古い建物」**が問題になることがあります。
今回のご相談も、まさにその典型的なケースでした。
明治時代に建てられた建物が、いまも存在していた
対象となった建物は、明治時代に建てられた建物でした。
相続人の方の認識では、
お父様が建てた建物は把握している
おじい様が建てた建物については、正確には分からない
古い建物はすでに無くなっていると思っていた
という状況でした。
しかし、登記簿を確認すると、その建物は表題部のみが登記されており、
新築年月日の記載なし
主たる建物に附属建物が5棟
権利部の設定もなし
という、非常に古い形式の登記でした。
「一部を壊した」つもりが、すべて滅失申請に
相続人の方は、
附属建物のうち 2棟を取り壊した
そのため「建物はもう無い」と判断
登記所に出向き、すべての建物について滅失登記を申請
という行動を取られていました。
しかし、登記所での回答は明確でした。
「これは実地調査にきても判断できません」
「土地家屋調査士からの申請でなければ、こちらでは分かりません」
登記所としても、「ある・ない」の判断ができない建物だったのです。
司法書士からの連絡で、調査が本格化
相続登記を担当していた司法書士から、当事務所に連絡が入りました。
既登記の建物が本当に滅失しているのか不明
登記簿には新築年月日すらない
そもそも、今も現地に存在しているのか分からない
ここから、土地家屋調査士としての調査が始まります
固定資産課税台帳に「明治」の文字
まず確認したのは、固定資産課税台帳です。
そこに記載されていた建築年は――明治時代。
正直、驚きました。
しかし、驚いて終わりではありません。
資料と現地を突き合わせる
次に行ったのは、以下の調査です。
固定資産課税台帳の内容確認
国会図書館所蔵資料の確認
過去の航空写真の確認
現地建物の詳細な測量
登記簿記載の床面積との照合
一つ一つ、事実だけを積み重ねていく作業です。
その結果、結論は明確でした。
「あります。これ、現地に残っています」
登記簿上の建物は、形を変えながらも、現地に確かに存在していました。
つまり、
すべてを滅失登記することはできない
一部滅失、一部現存として整理が必要
専門的な判断と図面作成が不可欠
という状況だったのです。
古い建物ほど、専門家の関与が不可欠です
明治・大正・昭和初期の建物は、
登記が不完全
増改築の履歴が不明
本人の記憶とも一致しない
というケースが少なくありません。
**「もう無いと思っていた」「親も詳しく話していなかった」
それでも、登記と現地は事実で判断されます。
難しい判断こそ、土地家屋調査士へ
今回のようなケースは、司法書士だけでは完結しません。
現地調査
建物の同一性判断
登記と現況の整合
役所との技術的なやり取り
登記所との技術的なやり取り
これらは、土地家屋調査士の専門分野です。
古い建物の相続、建物が「あるのか・ないのか」分からない場合は、
どうぞ、早い段階で土地家屋調査士へご相談ください。
問題は、「難しい」のではなく、「整理すれば解ける」ものがほとんどです。
古い建物ほど、
「壊したかどうか」ではなく、
「登記と現地が一致しているか」が重要になります。



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